福井県医師会長からの挨拶

最終更新日:2025.07.31

福井県医師会長

池端 幸彦(いけばた ゆきひこ)

1955年4月18日生

 

 令和7615日、第263回福井県医師会定例代議員会において、4期目の福井県医師会会長にご選任頂きましたこと、まずもって心より御礼申し上げます。

 振り返りますと、令和元年6月、福井県医師会長に初めてご選任頂いた際には、5つの活動の柱を掲げて会務に邁進するつもりでしたが、ご承知の通り令和元年12月中国湖北省武漢市から始まったCOVID-19は瞬く間に世界中に拡散し、県内においても、令和2318日の第1例発生以来、いわゆる「コロナ禍」への対応に追われた24年間でした。一時は医療崩壊も危惧される状況にまで至りましたが、全ての会員、県をはじめとする関係団体、そして何より県民の皆様方の絶大なるご協力もあり、3期目就任した令和56月には、ようやくCOVID-19も2類相当から5類に移行し、初就任当初より目指してきた5つの活動方針を中心に会務に邁進する決意をしておりました。しかしそんな矢先の令和6年元日、何と今度はお隣石川県で能登半島地震が発災し、再び災害対策に重点を置かざるを得ない状況に陥ってしまいましたが、このような有事に際し会員各位にはJMAT派遣は元より多くのご協力を頂く事になったこと、改めてこの場を借りて感謝申し上げたいと思います。

 そんな中で就いた当県医師会4期目の役員体制につきましては、まず副会長には、1期目から常に私を支え続けていただいた安川繁博先生、広瀬真紀先生の両先生と、新たに福井大学医学部附属病院院長に就かれた藤枝重治先生にご就任頂きました。また各郡市区医師会からは、前回に引き続き会長推薦枠2名の理事の他、6名の新任の先生をお迎えして大変有能な22名の理事、2名の監事の先生方をご選任頂きましたこと、大変心強く感じており深く感謝申し上げます。

 さて4期目に当たってのキャッチフレーズは、私の座右の銘でもあり、1期目から変わらず「Act Now for the Future ~未来のための今~」としました。また基本方針についても、前期同様「県民のいのちと暮らしと尊厳をまもる県医師会」とさせて頂きました。医療の立場ではまず生命を守り抜く事が第一義的ではありますが、それだけでなくその先にあるその方の生活もしっかり支え、更に尊厳ある人生を全うして頂くことこそが、来年度から始まろうとしている「かかりつけ医機能報告制度」における基本的な概念ではないかとの思いから、「尊厳」という言葉も付けさせていただきました。実は3期目にはこの基本方針に副題としての「ダイバーシティ・マネジメント」という言葉を付していましたが、最近この言葉の意味するところが、国内外でやや対立する姿勢につながったりする雰囲気もあり、今回は敢えて外させて頂きました。ただ私自身は、この「ダイバーシティ」(多様性)というコンセプトは引き続き大切にしていきたいと考えています。その意味でも女性活躍推進の一翼としての女性役員の登用に関しては、前期に引き続き会長指名枠として2名の女性の理事に入っていただき、更に今期は福井市医師会からも女性理事を1名ご推薦頂きましたので、合計で女性理事3名体制となりました。そこで、今期から三役会(正副会長、総務、会計)に総務担当として2名の女性理事に加わって頂き、県医療審議会や地域医療対策協議会という重要なポストにも就いて頂くことにしております。そして県医師会のみならず郡市区等医師会の中でも更に女性が活躍できる場が拡がるよう、環境整備等も含めて県医師会としても支援していければと思っております。

 そしてこの基本方針のもと、「5つの活動指針ver.4」として、1.組織強化・活性化とDX推進、2.医政・広報活動の充実、3.郡市区医師会との連携強化、4.新興感染症・災害対策の強化、5.県・医療関連団体との連携強化を挙げさせて頂きました。誌面の関係で、この5項目についての行動指針を含めた詳しいご説明は、別の機会にさせて頂きたいと思いますが、その中でも特に、医師会組織の強化と活性化とDX推進、医政・広報活動の充実は、勤務医や研修医を含めた「医師会組織強化」、現在の物価・賃金上昇に伴う未曾有の医療介護分野の経営危機に対応すべく、国会議員や県議会議員を中心とした「医政活動」と、コロナ禍を通してその重要性をひしひしと感じているメディア等を通した国民・県民への「広報活動」は、何とか目に見える形で会員にお示し出来るよう、全力で取り組んでいきたいと思っております。勿論、この原稿を書き上げている時点ではまだその結果が判明はしておりませんが、まずは現状、極めて重要かつ喫緊の案件として、日本医師連盟推薦「かまやちさとし」参議院議員候補の「かつてない大きな得票数」での上位当選を目指して、全力で選挙応援に取り組むことは言うまでもありません。

 更に全国的にみても会員数が少ない当県医師会ではありますが、出来れば県医師会の組織・財政基盤の強化や県医師会役員待遇のあり方、更には将来の県医師会館建て替え基金の積立等の為にも、避けては通れない財源問題も逃げずに取り組みたいと考えておりますので、是非とも県医師会役員は元より会員各位の率直で活発な議論を期待しております。

 いずれにしても今の医療界においては、前述の通り急激な物価・賃金上昇の中での公定価格のあり方が問われる令和8年度診療報酬改定、医療DXや医師の働き方改革の更なる推進、医師偏在対策やかかりつけ医機能の報告制度を含めた新たな地域医療構想の体制づくり等、今後も非常に重要な課題が山積しております。実はこれらの議論の場の中心でもある中央社会保険医療協議会(中医協)での私の委員としての任期はこの10月満了となりますが、同じく厚労省「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会も委員を拝命しておりますので、地方で地域医療を担う福井県医師会員の代表としても、しっかりとこの議論に参加していきたいと思っております。

 近い将来、この医療界にも明るい未来が必ずやってくる事を信じつつ、各郡市区医師会はもとより、福井県医師信用組合、福井県医師協同組合、福井県医師国保組合等の関連団体のご支援ご協力も仰ぎながら、全身全霊会務に邁進していく覚悟です。最後になりましたが、あらためまして会員各位のご健勝ご多幸をご祈念申し上げますとともに、今後ともご指導ご鞭撻の程お願い申し上げまして、4期目県医師会会長就任のご挨拶と決意表明とさせて頂きます。

 

令和7年7月

福井県医師会長

池端 幸彦

 

【キャッチフレーズ】

 Act Now for the Future 〜未来のための今〜

 

【基本方針】

 「県民のいのちと暮らしと尊厳をまもる県医師会」

【5つの活動指針 ver.4】

  1.組織強化・活性化とDX推進

  2.医政・広報活動の充実

  3.群市区医師会との連携強化

  4.新興感染症・災害対策の強化

  5.県・医療関連団体との連携強化

 

学歴

昭和43年3月 福井大学教育学部(現・教育地域科学部)附属小学校 卒業
昭和46年3月       同            附属中学校 卒業
昭和49年3月 慶應義塾高等学校 卒業
昭和55年8月 慶應義塾大学医学部 卒業

学位・免許・資格

昭和55年11月 医師免許
昭和61年11月 日本外科学会認定医
平成02年6月 日本消化器外科学会認定医
平成04年10月 日本医師会認定産業医
平成06年1月 日本医師会認定健康スポーツ医
平成13年3月 介護支援専門員

職歴

昭和55年9月 慶應義塾大学医学部外科学教室 入局
昭和56年5月 浜松赤十字病院外科 勤務
昭和57年6月 国立霞ヶ浦病院外科 勤務
昭和58年7月 慶應義塾大学病院 一般消化器外科 勤務
昭和61年5月 池端病院 副院長
平成01年4月 池端病院 院長(~現在)
平成09年8月 医療法人池慶会 理事長(~現在)
平成20年5月 社会福祉法人雛岳園 理事長(~現在)

学会並びに社会における活動等

(県内)

平成12年4月 福井県国保連合会 介護給付費審査委員会会長(〜令和2年3月31日)
平成13年7月 福井大学医学部 臨床教授(~現在)
平成13年10月 福井県慢性期医療協会 会長(~現在)
平成17年4月 福井県医師会 介護保険担当理事(~平成27年6月)
平成17年5月 福井県訪問看護推進協議会 会長(~令和元年6月)
平成20年4月 福井県地域包括・在宅介護支援センター協議会 会長(~平成26年5月)
平成20年5月 福井県介護支援専門員協会 会長(~平成27年5月)
平成23年5月 福井県医師会 副会長(~令和元年6月)
令和元年6月 福井県医師会 会長(~現在)
令和元年6月 福井県医療審議会 会長(~現在)

(県外)

平成23年5月 日本医師会 代議員(~現在)
平成24年6月 日本慢性期医療協会副会長・事務局長(~現在)
平成28年8月 厚労省
在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ構成員(~令和3年6月)
平成29年4月 厚労省 高齢者医薬品適正使用検討会 構成員(~現在)
平成29年4月 日本病院団体協議会 診療報酬実務者会議 委員長(~令和2年8月)
平成30年7月 社会保障審議会 医療保険部会 構成員(~令和6年9月)
令和02年8月 日本医師会 地域包括ケア推進委員会 委員長(~現在)
令和03年8月 中央社会保険医療協議会(中医協)委員(~現在)
令和04年6月 日本医師会 理事(~現在)
令和6年8月 日本医師会 社会保険診療報酬検討委員会 委員長(~現在)