様々な感染症のもととなる病原体は、どういうとき、どこからうつるのか。
(1)接触感染
(2)飛沫感染
(3)咬傷感染
キスやセックスなどにより、病原に直接ふれることにより感染すること。例えば、性器の粘膜の損傷不位などから感染する場合を接触感染といいます。
・梅毒
・淋病
・性器クラミジア感染症
・B型肝炎
・エイズ
・ケジラミ症 など

せきやくしゃみをした時に、咽・喉頭、気管などから病原体が飛び散り、他の人がそれを吸って感染します。これを飛沫感染といいます。
・肺結核
・インフルエンザ
・百日咳 など

狂犬病の犬にかまれたときに感染します。この病気は現在の日本には存在しませんが、海外にはまだ充分残っています。注意してください。
・狂犬病など

以上は、直接病原菌にふれたときの感染の仕方ですが、これ以外の感染の仕方もあります。
(4)経口感染
(5)経皮感染
(6)垂直感染<母子感染>
病原体を含んだ食品、ハエやゴキブリによって汚染された食品、汚染器具から手指を介して感染するものを、経口感染といいます。
●食物、水、汚染器具(手指を介して)
・O157感染症
・赤痢
・食中毒
・A型肝炎 など

皮膚から病原体が昆虫を介して、あるいは寄生虫が皮膚から侵入することなどを経皮感染といいます。そのなかでも最も頻度が高いのは、創傷部位から、細菌やウイルスが侵入する場合です。化膿し、重症になると全身に菌が分布し、死ぬことも有り得ます。特別な例としては、医療従事者が患者さんの血液から感染することもあります。
●昆虫を介するもの
シラミ:発疹チフス
ノミ:ペストなど
蚊:マラリアなど
ダニ:ツツガ虫病・ライム病など

●創傷からの感染
・エイズ
・梅毒
・破傷風
・化膿性疾患など

●患者血液からの感染
・エイズ
・B、C型感染
・梅毒
・マラリア
・エボラ出血熱など
胎児が、母体内で胎盤を通じて感染すること(子宮内感染)と、分娩のときに産道で感染することを、垂直感染といいます。
・B、C型肝炎
・エイズ
・梅毒
・風疹
・クラミジア
・B型溶連菌感染症

病原体が人に感染する経路には、まず(1)〜(3)の直接感染があり、これらは感染する機会を避けることが第一です。飛沫感染は、流行時に感染機会の多い人混みの場所へ行くことを避けることで防げます。
感染源と自分との間に食物や昆虫などが介在する間接感染では、介在物への注意が必要です。健康人なら感染から自分の身を守る働きを持ちますが、免疫力の弱い老人や乳幼児は感染しやすく、それなりの注意が必要なのです。

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