医療保険について
病気・怪我をしたときは、健康保険、国民健康保険、共済組合などの社会保険により診療を受けることができます。
このように、だれもが保険で医者にかかれる国民皆保険は、昭和36年に達成され、現在に至っている。
●老人保健制度
老人保健法は、70歳以上の老人の医療に要する費用を国・都道府県・市町村と保険者が共同で持ち寄ることによえい、老人に対する医療を安定的に行うことを目的としたものです。
被用者保険のOBで老齢年金の受給者とその家族は、国民健康保険の退職被保険者等として退職者医療を受けます。その費用は、退職被保険者等にかかる保険料と被用者保険からの拠出金でまかなわれます。
医療保険制度のほかに、国の医療保障制度のもう一つの柱として公費負担制度があります。
体に異常があれば、いつでも健康保険証を提出することにより医師の診療がうけられます。必要があれば、往診も認められます。ただし、往診の自動車賃は患者が負担することになっています。診察に必要な検査も受けられます。
治療のために必要な薬が保険から支給されます。しかし、いま製造されている薬が全部健康保険で使えるわけではなく、厚生省が定める「薬価基準」に収載されている薬品に限られます。
医師に処方箋を書いてもらったときは、保険薬局へ行って調剤してもらうことができます。この処方箋の有効期間は、特別の場合を除いて交付を受けた日から3日間です。
直接治療に用いるガーゼ、包帯、眼帯などの治療材料は、保険で認められます。義手、義足、松葉杖などは、治療に必要な期間だけ貸してもらえます。
注射、包帯、ガーゼの取り替え、薬の塗布、患者の洗浄、点眼、点鼻、点耳、酸素吸入、浣腸、人口呼吸などの処置や患部の切開、切除、縫合などの手術はもちろん放射線療法、慢性病の療養指導などもうけられます。
健康保険を扱っている医師が必要と認めれば、一部負担金(自己負担分)を支払うことにより入院できます。入院中は食事も支給されます。
勤め先の仕事が直接の原因となって起きた病気やケガ、または通勤途上の事故による病気やケガは健康保険ではとり扱われません。これは、労働基準法や、労災保険法などの法律に基づいて診療を受けられることになっています。
通勤とは、労働者が勤務先の仕事につくため、または仕事を終えたことにより、住居と就業場所との間を、合理的な経路、方法で往復することを、その間に起きた事故か通勤災害ということになります。通勤の途中で、その経路を外れたり、途中下車したときなどは、その時点から通勤とみなれれません。しかし、夕食のおかずとか日用品の購入など日常生活上必要なことがあれば、その間を除き再び乗車したときから通勤扱いとなります。「通勤途上」とは、
ここでいう通勤とは、仕事につくため、または仕事が終わったために行う往復をいい、業務との関連性が必要とされます。したがって任意参加の会社の運動会やサークル活動に出席するための往復等は通勤とされません。しかし、通勤時間終了後、会社で同僚と囲碁などのサークル活動を短時間行って帰宅する場合、普通の通勤とみなされます。
日常住んでいるところ、つまり自宅ですが、早出、残業或いは交通機関のストなどのため旅館に泊まった場合は、一時的のそこが住居とみなされ、そこと就業場所との往復が通勤とされます。
一般的には勤務先に最短の道順・方法ということになりますが、勤務先に届けて出てあるもの、あるいは定期乗車券に表示されている経路などが代表的といえます。
経路から外れたときなどは、その時点から通勤とみなされます。しかし、通勤経路上短時間の行為は、特に通勤を中断したものとはみなされないことになっています。
通勤災害は、業務外の災害ですが、労災保険から療養給付、休業給付、葬祭給付が支給されると、健康保険の給付や共済組合の短期給付は支給されません。
次のような場合には、病気とみなされないので、保険による診療を受けられません。
例外として、ハシカ及び百日咳が流行し、同じ家庭内にまだかかったことがない人の場合は、その人に対してハシカなどの予防注射が認められます。
<その他の制限>
不正または不当な行為に対する制限。次のような場合には、健康保険による診療が受けられなくなります。
外来患者が多く、病状が安定している高血圧等の慢性疾患の外来通院患者で診察する時間がない等の理由で、診察することなく投薬を行ういわゆる「無診察治療」を行うことがあるかもしれませんが、患者個人個人の病気の種類及び程度、これに対応する治療は、その都度医師の判断が必要となります。
そのため、医師法第20条では、「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方箋を交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証明書を交付し、又は自ら検索しないで、検索書を交付してはならない。ただし、診察中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りではない」と規定されています。
保険診療を行いながら、併せて診療報酬点数の定められていない手術や検査、薬価の定められていない薬剤に係る薬剤料等を患者から徴収したり、社会保険診療報酬支払基金等の審査で減額査定される部分の負担を患者から求めることは、保険診療と自費診療の混合となることから認められないことになっています。
医師自身が自分自身に対して行う診療を自己診療といいます。これについては、健康保険上保険給付の対象として認められないとされているので、注意してください。