医薬安発第0509001号
平成15年5月9日
厚生労働省医薬局安全対策課長


原因不明の「重症急性呼吸器症候群」による院内感染防止対策の徹底について


 原因不明の「重症急性呼吸器症候群」による院内感染防止対策については、「ハノイ・香港等における原因不明の重症急性呼吸器症候群の集団発生に伴う対応について(第7報)」(平成15年4月7日付け健感発第0407001号)等により、「重症急性呼吸器症候群(SARS)管理指針」(以下「SARS管理指針」という。)として、SARSの可能性例に対する対応を示し、貴管内の医療機関等へ周知し、適切な対応をお願いしているところです。

 今般、各医療機関におけるSARSの感染防御の視点から別紙のとおり「重症急性呼吸器症候群(SARS)に対する消毒法」をまとめたので、貴管内の医療機関に対して周知方お願いします。

 


 

別紙
重症急性呼吸器症候群(SARS)に対する消毒法

 
1. 重症急性呼吸器症候群(SARS)の病原体と推定されている新型コロナウイルスは、重篤な症状を引き起こすことや、本ウイルスに関する詳細については未だ明らかにされていないことなどから、本ウイルスに対しては厳重な消毒を行っておく必要があります。
2. コロナウイルスは、エンベロープと呼ばれる膜を有するウイルスで、過酢酸(アセサイドRなど)、グルタラール(ステリスコープ、サイデックスなど)、次亜塩素酸ナトリウム(ジアノック、ピューラックス、ミルトンなど)、アルコール(消毒用エタノール、70v/v%イソプロパノール)、およびポビドンヨード(イソジン、ネグミンなど)などが有効です。
3. 手指消毒には、速乾性手指消毒薬(ヒビスコール、ヒビソフトなど)を用います。
4. 患者が退室した病室の消毒は、オーバーテーブル、ベッド柵、椅子、机およびドアノブなどに対するアルコール清拭で対応してください。アルコールの代わりに、0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウム(ジアノック、ピューラックス、ミルトンなど)を用いても差し支えありません。なお、天井、壁、および床などの消毒は、喀痰などの付着がない限り不要です。
5. ベッドマット、毛布、およびシーツなどのリネン類の消毒は、80℃・10分間の熱水洗濯が適しています。ただし、80℃・10分間などの熱水洗濯が行える洗濯機がない場合には、0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウム(ジアノック、ピューラックス、ミルトンなど)への30分間浸漬で対応してください。
6. 患者に関して発生した感染性廃棄物を扱う際には、注射針などによる外傷に注意し、バイオハザードと明記された漏出しない強靱な袋あるいはゴミ箱に入れ、安全に廃棄してください。

なお、以上の方法で消毒する場合は、適切な感染予防装備と手順に従って行ってください。